親業とは?
元々は英語で “Parent Effectiveness Training” と表現されており、日本語では「親としての役割を効果的に果たすための訓練」という意味として解釈しています。
「親業訓練」は、アメリカの臨床心理学者トマス・ゴードン博士が開発した、コミュニケーションプログラムで、カウンセリングや、学習・発達心理学、教育学などの、いわゆる行動科学の研究成果を基盤として作られているものです。
ゴードン博士は、親としての役割、つまり「親業」を果たすことは、「一人の人間を生み、養い、社会的に一人前になるまで育てる」仕事にたずさわることであると述べています。
多くの親が、親の役割を精一杯果たそうと知識や情報に揺れながら試行錯誤しているのではないでしょうか。そんな中で、親業は、子ども(相手)の成長を助け、同時に、自分も成長できるコミュニケーションスキル(メソッド)として、ひとつの方向性を示したものとなったのです。
親業訓練の目指すこと、それは、親も子も一人の人間として尊重されること、そして、子ども(相手)が、社会生活の中で他人の立場を理解し受け入れることのできる柔軟な心を持ち、自分のことを自分で処していく自律的な人間になるよう、親が、親としての役割を効果的に果たせるようになることです。
この理念は、親子間だけではなくすべての人間関係に共通するということで、世界中で多くの人が親業のさまざまな講座を受講しています。
親業訓練で学ぶこと(3つの柱)
親業訓練で学ぶ3つの柱があります。
① 聞くこと
② 話すこと
③ 対立を解くこと
これらの具体的な手法を毎日の日常的な生活の場面で実践していくことによって、次のように親子関係を変えていくことができます。
* 子どもが心を開いて、自分の気持ちを素直に出すようになる。
* 親もまた自由なありのままの気持ちで子どもに接するようになるので、子育てに無理がなくなり楽に感じる。
* 日常生活の中で、自然な思いやりと愛情に満ちた親子の対話、対応ができるようになる。
こうした心の通い合う温かい親子関係は、家庭内暴力、不登校、子どもの自殺といった極端な問題を防ぐことにもつながります。また、これらのスキルは、あらゆる人間関係において有効ですので、親子関係だけでなく夫婦、職場、友人関係などへ応用できます。
これからの教育方針【文部科学省 コミュニケーション教育推進会議】
国際化の進展に伴い、多様な価値観を持つ人々と協力、協働しながら社会に貢献することができる創造性豊かな人材を育成することが重要です。また、近年、子どもたちが自分の感情や思いをうまく表現することができず、容易にキレるなどの課題が指摘されています。
このような状況をふまえ、子どもたちのコミュニケーション能力の育成(以下、コミュニケーション教育)を図るための具体的な方策や普及のあり方について 調査・検討を行うため、「コミュニケーション教育推進会議」(以下「推進会議」という)を設置します。